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労務トピックス

平成28年よりマイナンバー制度本格始動へ②

さて「平成28年よりマイナンバー制度本格始動へ①」で、初期のマイナンバーの使用用途は

  • ① 社会保障(年金・雇用保険・医療保険の給付請求・児童扶養手当・生活保護など)
  • ② 税(税務当局に提出する各種申告書/届出書/調書など)
  • ③ 災害対策(被災者生活再建支援金の支給・被災者台帳の作成事務など)

の3つであるものの、実際にはマイナンバー法が施行される前段階で改正マイナンバー法が成立し、
その使用用途は拡大済みであることに触れました

【改正マイナンバー法概要】※内閣官房HP(PDF) http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/hokaisei_gaiyou.pdf

返す返すも、平成27年10月5日に施行される法律の改正案が
平成27年9月3日に成立するという流れには、とても違和感を感じます
一度施行してみて、運用上の課題や問題点を洗い出してから必要な改正を施すべきではないかと思いますが、
ともかくも改正内容は次の通りです

  • 1 預貯金口座へのマイナンバーの付番
     ①預金保険機構等によるペイオフのための預貯金額の合算において、マイナンバーの利用を可能とする
     ②金融機関に対する社会保障制度における資力調査や税務調査でマイナンバーが付された預金情報を効率的に利用できるようにする

  • 2 医療等分野における利用範囲の拡充等
     ①健康保険組合等が行う被保険者の特定健康診査情報の管理等に、マイナンバーの利用を可能とする
     ②予防接種履歴について、地方公共団体間での情報提供ネットワークシステムを利用した情報連携を可能とする

  • 3 地方公共団体の要望を踏まえた利用範囲の拡充等
     ①すでにマイナンバー利用事務とされている公営住宅(低所得者向け)の管理に加えて、特定優良賃貸住宅(中所得者向け)の管理において、マイナンバーの利用を可能とする
     ②地方公共団体が条例により独自にマイナンバーを利用する場合においても、情報提供ネットワークシステムを利用した情報連携を可能とする
     ③地方公共団体の要望等を踏まえ、雇用、障害者福祉等の分野において利用事務、情報連携の追加を行う


この改正内容を見るに「マイナンバーを通じて、公が私の情報をあまねく管理していく」という姿勢が強く感じられます

  • 1-①…ペイオフ云々はともかく、個人の貯蓄額をしっかり把握できる体制を作る
  • 1-②…脱税・生活保護の不正受給を取り締まるため、金融機関への資産状況照会をやりやすくする(良いことではありますが)
  • 2-①…健康診断の履歴がマイナンバーに集約される(他の医療機関での履歴確認が容易になる⇒漏えい対策が必須)
  • 2-②…予防接種の漏れをなくすという意味においては、マイナンバーの良い使い方ではないかと思います
  • 3-①…個人の所得を把握するため、マイナンバーを利用し給与支払報告書・確定申告の内容を照会
  • 3-②…市区町村が恣意的な条例を制定した場合はどうなるのか心配
  • 3-③…「雇用、障害者福祉等」と「等」の字をつけてしまうと、マイナンバーの利用範囲がとめどなく広がる懸念が

この中でも一番気になるのは、やはり1-①②です

【マイナンバーが付された預金情報の効率的な利用について】※内閣官房HP(PDF)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/yokin_riyou.pdf

この資料によりますと、平成30年1月からマイナンバーの(国が考える)効率的な利用を促進するため
「預金者は、銀行等から、マイナンバーの告知を求められる」とされています
ただ、それと同時に「※ 法律上、告知義務は課されない」とも書かれているので、
要約すると「平成30年以降、預金口座と紐づくマイナンバーの報告を銀行等から要請されることがあるが、
その要請には法的義務はなく、要請された側が任意に対応して良い」ということになります
しかし、銀行の従業員さんがお客に対しこのような要請を行ったら「なんで教えないといけないのですか?」と問い返されてしまうでしょう
勿論、銀行の従業員さんだって嫌な思いはしたくないでしょうから、この働きかけはあまり広がりを見せないと思います
(教えてくれた方には「○○」をプレゼント!、みたいなキャンペーンを打てば少しは違うのかも知れませんが、
銀行側からすればマイナンバーの管理業務が増えるだけでなんのメリットもありません)
このことは十分予見可能なので、この資料の一番下には次のような一文が添えられています

【付番促進のための見直し措置の検討】 付番開始後3年を目途に、預金口座に対する付番状況等を踏まえて、必要と認められるときは、
預金口座への付番促進のための所要の措置を講じる旨の見直し規定を法案の附則に規定

つまり平成33年1月現在で銀行口座とマイナンバーの紐づけが進んでいない場合は、付番を促進するための「所要の措置」を講じることが盛り込まれています
「所要の措置」ということは、先程「※ 法律上、告知義務は課されない」が「※ 法律上、告知義務は課される」になるのかも知れません
おおざっぱに捉えますと平成30年から銀行口座とマイナンバーの紐づけ作業が始まり、平成33年に義務化される、という流れになりそうです
そうなりますと、おそらく「休眠口座の預金をどうするか」という問題に繋がり、ある一定の猶予期間を設けた後休眠口座の預金は国庫行き、ということになるのではと思います
いずれにしましても、あと何年かすると「国が国民の財布状況をきっちり把握出来る」、ちょっと世知辛い世の中になっているのかも知れません